第27章 中忍試験・開幕
(さすがだわ…。幻術を見抜くだけじゃなく、サクラちゃんも励ますだなんて…。)
さすがアカデミーNo.1のモテ男だっただけある。
中身も外見も良けりゃ、そりゃ騒がれるわけだ。
私が悩みに悩んだサクラを、こうもあっさりと解決してしまうのだから。
そんなサスケに感心していると、幻術を破られた忍者が、サスケに攻撃を仕掛ける。
それにすぐさま反応し、サスケも蹴りを繰り出した時だ。
先程まで打たれていた全身緑タイツの青年が割って入り、2人の蹴りを防いだのだ。
『速い!それに、サスケの蹴りを止めるなんて…。』
これにはサスケも驚いた様子であり、私はサスケの元へと寄った。
「あいつ、打たれた傷がもう消えてやがる。」
サスケに言われて観察すると、傷が跡形もなく綺麗に消えていたのだ。
『あの人…一体なんなの…?』
じぃっと観察していると、サクラの前に立ち止まり、彼は話を始めた。
「僕の名前はロック・リー。サクラさんと言うんですね…。
僕とお付き合いしましょう!死ぬまであなたを守りますから!」
「絶対イヤ…あんた濃ゆい…。」
突然全身緑タイツの青年…リーがサクラに公開告白をし、振られるという展開を見せられ、思わず吹き出してしまうのを堪えた。
『クク…。私、あの人の真っ直ぐな性格、結構好きかも。』
「…お前、ああいうのが良いのか?」
サスケの質問に、それは違うと訂正しようと顔を見ると、なぜか不機嫌な顔をしていた。
めちゃくちゃムッスリとして、こちらを睨んでいた。
『クク…ッ!サスケ、そんな顔しないでよ!私はサスケが一番、す…素敵だと思ってる!』
好きとはやっぱり言えなくて、素敵だと言いなおす。
「そうか」と言っているものの、不機嫌極まりないといった表情のサスケに、なんだか申し訳ない気持ちになった。
「おい、そこのお前、名乗れ。」
そんなサスケに別の男が声をかけてきた。
しかしサスケは「答える義務はない」と突っぱねて、何も答えることはなかった。
『はぁ。サスケ、人に当たらないでよ。私が悪いみたいになるじゃない。』
「…お前が悪い。」
『なんかサスケ…すねてる?』
その問いには返してくれる事はなかった。
けれど、図星であったようで、ふいっと顔を逸らしたサスケは、やはり可愛い奴だと思った。