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大切【NARUTO】

第27章 中忍試験・開幕





家へと向かう途中、リクはずっと何かに悩んでいる様子だった。
何時ものように修行して、飯も食う。

それでも、一つの事に集中しきれていない様だった。


今は、ほぼ自宅と化したリクの家にいるのだが、何度も何度もリクは溜息をつく。
とうとう見兼ねた俺は、リクに問うた。


「リク、どうした?」


『…え?なにが?』


とぼけて笑うが、そんなものバレバレだ。

俺をなめてもらっちゃ困る。

失った家族と同じだけの時間を一緒に過ごしているのだ、多少の変化でも気付いてしまうのは当然だ。


「なにを悩んでる?」


『フフッ。サスケに隠し事なんて出来ないわね。』


クスクスと笑うリクに、釣られて俺も少し笑う。
本当、よく笑えるようになったなと思う。


『んー、とね?チームワークが大切なのに、私はチームのみんなの事をよく知らないなって。』


「そうだな…。俺も知らない。ナルトの事も、サクラの事も。」


言われてみればそうだ。

ナルトが影分身が得意で、昔から一人でいた事は知ってる。
サクラが鋭い頭脳を持ってる事は知っている。


だけど、必要最低限な事以上には知らないのだ。
それで十分チームとして成り立つとは思うのだが。


『チームの人が悩んでる時に、なんて声をかけてあげれば良いか分からない。
それはチームメイトの事をよく知らないからじゃないかと思ってね。
そんな状態で、なにがチームワークだって思っちゃって…。
私って、まだまだ無能よね。』


悩むリクに、それこそなんて声をかけてれば良いのか分からない。
聞いておいて、大した答えを渡す事ができなかった。


(俺も、よく知らないんだな。リクの事を。)


リクの悩みの答えは出ないまま、それは俺の悩みにもなった。





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