第27章 中忍試験・開幕
サスケの一言でこうもアッサリと機嫌の変わってしまう私は、本当に安い女だと思う。
そう思っていても、嬉しいものは仕方がない。
自然と顔が緩むのだから。
集合時間より当然早くについて、サスケと並んで話した。
話の内容はいつも通り。
修行の話とか、晩御飯の話とか。
それでもサスケといると幸せだ。
集合場所である橋で、手摺に背中を預けて話していると、集合時間ギリギリ時間にサクラ、そしてナルトがやってきた。
『おはよう、春野さん!ナルトくん!』
走ってきた二人は肩で息をして、汗を拭っている。
二人とも寝坊をしたらしい。
いつもなら綺麗に整っているサクラの髪に、少しだけ寝癖がついているのがその証拠だ。
『大丈夫、全然遅刻じゃないから!』
そう言うと二人は「良かった」と言い、その場しゃがみ込んだのだった。
…まあ、いつもの通りカカシは来ない。
「ねぇねぇねぇ!こんな事が許されて言い訳!?
なんであの人は自分で呼び出しておいて常に人を待たせるのよ!」
「そーだそーだ!サクラちゃんの言う通りだってばよ!」
「寝坊したからってブローを諦めてくる乙女の気持ち、どうしてくれんのよ!」
「そーだそーだ!俺なんか寝坊したから、顔も洗ってないし、歯も磨けなかったんだってばよ!」
ギャアギャアと騒ぎ合う二人の姿を見て、くすりと笑う。
「朝っぱらから何でこんなにハイテンションなんだ、こいつら…。」
『第7班はこうでなくっちゃ!フフッ!
サスケだってそう思うでしょう?』
「フン…さあな。」
サスケも、なんだかんだ言って二人が大切な仲間になりつつあるのだ。
イライラした口調で話していても、表情は別だ。
アカデミーの頃は「お前がいればそれでいい」の一点張りだったが、サスケにもこうして" 仲間 "と呼べる人たちが出来て良かったと思う。
『本当、サスケは素直じゃないんだから。』
「うるっせーよ。バカ。」
フンと笑うサスケを見て、リクはまた、にこりと笑った。