第26章 親友
せっかくヒナタとの楽しい時間だったのに、まさか泣いてしまうなんて。
…サスケの事で、涙が出るなんて、想定外だった。
『あはは…。なんか、しんみりしちゃった。ごめんね?』
そう言って、無理やり団子を口の中に詰める。
が、詰め込みすぎて、窒息するかと思った。
(なにやってんの、私。動揺しすぎよ。…落ち着かなきゃ。うん。)
お茶で流そうと、一気に手元のソレを傾けるが、それは出来立てホヤホヤの"ぜんざい"で。
『あっつーい!!』
ぜんざいを思い切り放り投げ、リクは思い切り背からこけた。
「…リクちゃん、そんなに慌てなくてもいいよ。取り敢えず座って…。お水どうぞ。」
リクが投げ飛ばしたぜんざいは、見事ヒナタがキャッチしており、周りに被害はなかった。
『ご、ごめん、ヒナタ。』
受け取った水を飲み、深呼吸をする。
そして、チラリとヒナタの様子を見ると、またしてもヒナタは笑っていた。
「ぜんざい、落としたら勿体無いでしょ?」
そういってリクを元気付けようと、冗談を言う。
…いや、ヒナタの場合冗談ではないけれど。