第25章 波の国・想い
サスケが好き。
気付いてしまえば、全てぴったり当てはまる。
兄弟でも、友達でも、家族でもない。
好きな人。
…だけど、気付いてしまった。
サスケの好きな人。
それは、昔見せてもらった写真の女の子。
" うちはソラ "
ソラと私が似ているから、サスケはずっと側に居てくれただけなんじゃないかと。
初めはそれでいいと思っていた。
サスケがそれで幸せならば、それで側にいれるなら、守れる距離にいるならば。
けど、今は違う。
身代わりに思われるのが嫌だ。
" 歌神リク "を見て欲しい。
私を、見て欲しい。
だけど、もうこの世界にいない彼女には、私は勝てない。
(……私は永遠に、サスケに認めてもらえないのかもしれない。)
半ば諦めの気持ちが混じる。
それは「ソラ」という子には、絶対に勝てないと心の何処かで思っているから。
(何時もは強気なくせに、私らしくないな…。)
だけど、今繋いでいる手は、サスケにとっては「ソラ」なのかもしれない。
それが不安で、思わず質問してしまった。
『…ねぇ、サスケ。今サスケの手は、誰と繋いでるの?』
我ながら『意味深な質問だ』と苦笑いする。
サスケも一瞬、なんの事だと首をかしげる。
「…リクだ。」
『そっか。そうだよね。変な事聞いてごめんね?』
「問題ねぇ。」
自分の名前が返ってきたことに、少し嬉しく思う。
そんな事しても、意味がないのに。
(……悩んでも、仕方がない事だよね。もう、考えるのやめよう。)
これ以上考えても、虚しくなるだけ。
起きた時に全て忘れていたらいい。
そんな事を思いながら、リクは夢の中へと堕ちていった。
繋いだ手の温もりを感じながら。