第25章 波の国・想い
サスケの手を握り、天井を眺める。
目が覚めた時、1番に思ったことは
"死に損ねた"
という事。
サスケを守りきれなかった自分なんて、生きてる価値がない。
サスケのいない世界なんて、生きる意味がない。
歪んだ気持ちなのかも知れないが、本気でそう思った。
でも、サスケは生きてた。
安心して涙がこぼれる。
夢なんかじゃないよねと、何度も確かめたくなる。
だから、沢山話しかけた。
何度も何度も確認するように。
一人じゃないか確かめるように。
『サスケ、髪の毛短くなっちゃった。』
これは、目が覚めてから気づいた事。
腰まであった長い髪は、肩につくほどの長さになっていた。
白が治療してくれた際に使ったと聞いた。
けど、サスケは長い髪が好きだと聞いていたから伸ばしていたのに。
大きく息を吐くと、サスケが笑う。
「その長さも似合ってる。身体起こせるようになったら、整えてもらえ。」
そう言ったサスケが、いつも以上にかっこよく見えて。
なんだか、照れた。
『ありがとう…。』
似合うって言ってくれて、ありがとう。
生きててくれて、ありがとう。
側にいてくれて、ありがとう。
沢山の想いを詰めた。
…今回の件でわかった事がある。
私にとってのサスケは何なのか。
皮肉にも、彼を失いかけて初めて気づいた。
友達でも、親友でも、家族でもない。
分からないと、心にしまいこんでいた本当の気持ち。
サスケは、私の好きな人。
特別に、好きな人だって事に。
サスケに、恋をしてたんだと。
いつもなら直ぐに口から出る『サスケが好き』という言葉。
自分の気持ちに気付いた今、喉でつっかえて出てこない。