第25章 波の国・想い
無事に目を覚ましたリク、そしてサスケは退院し、タズナの家にいた。
カカシ、ナルト、サクラはタズナの護衛についている。
サスケは自身の療養と、リクの看病という名目のもと、タズナの家で待機だ。
サスケは動けるのだが、リクは腹部が痛むらしく、起き上がることもできない状態だ。
『ん…サスケ、どこ?』
「ここにいる。」
呼ばれたのに返事をして、松葉杖をつきながらリクの元へ行く。
そして俺を探し、空中を彷徨うリクの手を握ってやる。
すると、彼女はふわりと笑う。
『サスケ…生きてるね。』
「ああ、そうだな。」
優しく笑うリクは、とても綺麗だった。
リクはすぐ、俺の名を呼ぶ。
何度も何度も確認したくなるらしい。
ここに、俺がいるのか。
ここに、生きているのか。
氷を挟んではいたものの、リクの目の前で、俺は倒された。
カカシによると、その俺の姿を見て、彼女は演習の時のように暴走したらしい。
「リク、俺はお前を一人にしない。安心して寝てろ。」
『絶対だよ?…死んじゃ嫌だ。一人にしないで…。』
ポロポロと涙をこぼし始めたリクをゆっくりと撫でてから涙を拭ってやる。
リクが里に来てからずっと、二人でいたからな。
これは予想でしかないが、暴走した理由は孤独に怯えていたのかもしれない。
…心配かけて悪かった、もう一人にしない。
もう一度そういう代わりに、サスケはリクに微笑んだ。