第24章 波の国・死闘
「なぁなぁ、このリクちゃんの白いアザ…治せねーの?」
病院へと向かう途中、ナルトが問うた。
なんの話だと、みんながリクのほうを向く。
リクの足や手には、ナルトの言うとおり、白いアザが大きく広がっていた。
「歌神さんの体にこんなの無かった筈だけど…。」
「白いアザなんて…聞いたことないね。毒って訳でもなさそうだし。」
サクラがまじまじと見つめる。
ナルトも、カカシすらも、何か分からないと首をひねる。
(白い、アザ…。)
そもそもアザが白いってことも珍しいのだが、サスケは一つだけ例を知っている。
ある特殊な一族が力を使うと、広がるアザ。
全身に広がれば死ぬと言われるアザ。
幼い頃、聞かされた話の中に出てきたアザ。
そう、セイレーンの力の副作用。
(…セイレーン。そんな訳ないか。)
そもそもセイレーンなんてものは、もうこの世に誰一人としていない。
…なんたって、唯一の生き残りだった幼馴染とその母親は、既に死んだのだから。
(ハルさんも死んで、ソラも死んだ。セイレーンな訳ない。)
じゃあ、あのアザの正体は何なのか。
答えが分からず顔をしかめると、カカシに指摘された。
「サスケ、顔が怖いよ。何か思い当たるものでもあるの?」
「…いや、なんでもない。」
例えこの世にソラが居なくても、「これだけは誰にも言うな」と言った父フガクとの約束は破らない。
カカシが更に何かを聞こうときている様子だったが、見なかったことにして先を急いだ。