第24章 波の国・死闘
ナルトと白は、目の前の女の変化に驚いていた。
「リクちゃん…、その髪…!?」
「まさか貴方も…血継限界を持っていたのですか。」
目の前の女の…、リクの髪の色が黒から銀へと変化し、とても悲しい歌を口ずさんでいた。
(…心臓が!どういう事だってばよ!?)
突然に胸が苦しくなり、膝をつく。
それは白も同じだったようで、心臓の辺りを押さえている。
その白の首を、リクは掴んだ。
しかし白は先程「殺してくれ」と言っていた。
…抵抗しない。
「ちょ、ちょっと待つってばよ!リクちゃん、なんか変だぞ!?」
ナルトはリクを止める。
けれどそれは耳に届いていないようで。
ナルトはサバイバル演習の日を思い出す。
(あの時も確か、サスケが原因で…!)
どうにか止めなければと考えていると、白が目を見開き、抵抗し始めた。
「再不斬、さん…。助けないと…!」
白はリクの手から脱しようともがくが、リクの手は離れる事はない。
「リクちゃん!やめてくれー!」
ナルトが叫んだその時、リクが歌う事をやめた。
それと同時に、胸の痛みが消える。
『…でも、あなたを行かせる訳にはいかない。』
「は…!?何言ってるんだってばよ!?」
ナルトの問いに答える事はしてくれなかった。
戸惑っていると、白の腕はぶらりと力が抜けてしまった。
そしてリクは白を置き、薄くなりつつある霧の中へと走っていった。
「リクちゃん…なんで…。」
殺す必要はなかったはずなのに。
ナルトは倒れた白を眺め、拳を握りしめた。