第23章 波の国・修行
リクは大きく伸びをし、外に向かう準備をする。
先ほど密かに決意したこと。
今から夜の特訓、体力をつけるのだ。
靴紐を結んでいると、後ろから呼びかけられた。
振り返るとサクラだった。
『どうしたの?春野さん…。』
「ちょっとね、歌神さんにお願いがあるの。」
『……?』
彼女からお願いだなんて、珍しい。
一体なんなんだと首をかじけると、サクラは決意したように目線を合わせてきた。
「私の修行…。手伝って欲しいの!」
『わ、私でいいの!?』
「歌神さんが、いいの。」
サクラの気持ちは、何時変化したのだろうか。
あれまで "あなたが嫌いです" っといった感じのオーラを放たれていたのに。
まさか、修行を手伝ってくれなんて。
いつものサクラなら、サスケに頼むはずなのだが。
不思議に彼女を見つめると、ムスッと睨まれた。
「なによ、私が歌神さんに頼むなんて変だと言いたいわけ?」
『え、いや、そういうわけじゃ…。』
「………同じくノ一なのに、たくさん差があるのが悔しい。
今、第七班で一番力と知識を揃えて持っているのは、サスケくんじゃなくて、歌神さん。
…私も強くなりたいの。」
そう語る彼女の目は真剣だった。
私の事はあまり好きじゃない筈なのに、強くなりたいという理由で彼女は頭を下げている。
断る理由なんて、ない。
『春野さん、行こっか。』
「…ありがとう、歌神さん。」
二人のくノ一は、他のメンバーに気付かれないよう、隠れて修行を始めた。