第23章 波の国・修行
修行場所から少し離れたところ。
突然『話がある』と連れてこられたものの、リクは背を向け、話出さない。
「どーしちゃったのよ。何か悩み事?」
そう言うとリクはこちらを向き、閉じていた目を開いた。
…本当に、リクには何度も驚かされる。
(…まさか、開眼しているとは。)
彼女の目は真っ赤に染まり、勾玉のような模様が3つ。
…写輪眼があった。
『写輪眼って…、血継限界ですか?』
まあ写輪眼は、うちは一族の血継限界だ。
そう言いたいのだが、彼女は"うちは"である事を忘れている。
それに三代目にも、念を押されているのだ。
「うちは一族の者である事は、いってはならん」と。
どう返事をするか悩み、口を閉じていると、さらにリクは話を進める。
『…写輪眼は、セイレーンの一族の血継限界みたいな物だと思ってました。
カカシ先生は、違いますよね?
写輪眼って、何処の一族の血継限界なんですか。』
上手いこと誤魔化さなければ。
至った結論は、自身の話を少し混ぜて嘘をつくことだった。
「……写輪眼はサスケの一族、つまり、うちは一族の物だ。
だけど、俺はうちは一族じゃない。
この眼は、昔に友人からもらった物だ。
だから、リクのそれも、誰かに貰った物なのかもしれないね。」
…どうだ、うまく誤魔化せただろうか。
対忍者の時よりも、緊迫した気持ちだ。
リクの答えを待つ…。
『…そうなんですね!なんかスッキリしました!ありがとうございます!』
変な話でごめんなさいと、リクは元の場所へ戻っていった。
緊迫した空気は、一気に解ける。
「はぁ…。意外と単純で良かった。」
カカシはホッと一息をついたのだった。