第23章 波の国・修行
「…お前、あんなに動けるんだな。怖くなかったのか?」
サスケの話とは、再不斬との戦いのこと。
一緒に修行をしてたはずなのに、あんなにも差があるなんて。
何度も組手をしたし、模擬戦闘もしたから、リクが強いことは知っていた。
だけど、再不斬戦でも、守りたいものに守られて悔しかった。
あれじゃあ、幼い頃と同じだ。
今回は、彼女が殺されかけた所を救出するだけで、精一杯だった。
ぐっと拳を握る。
しかしその拳は、リクの手に包まれた。
『怖かったけど…何でだろ、慣れてる感じしたの。
多分、私の記憶がない頃に、そういう感じの経験、沢山してたんじゃないかな。
サスケは十分強いよ、これからもっと強くなる。』
「これからじゃダメだ。俺は今すぐにでも強くならなきゃならない。」
兄への復讐のため…。
そして今は、それだけじゃない。
俺の手を優しく包んでくれる、リクを守るためにも。
するとリクは、サスケの額を小突いた。
『眉間にしわ、寄りすぎよ?
大丈夫、サスケは強くなる。焦っちゃだめ。
私もきっと木の葉に来る前に、何年もかけて修行してたのよ。』
リクは笑う。
この時、改めて思った。
…リクの笑顔が好きだ。
…リクが、好きだ。
だから、守りたい。
幼馴染の時のように、後悔したくない。
彼女を守れる力が、欲しい。
彼女が消えてしまわないように、ずっと側に居て、手を繋いでいたい。