第22章 波の国・鬼人
『春野さん!!こっちに来て!!』
リクが呼ぶとサクラはすぐに駆けつけた。
『タズナさんを、お願い!』
「でも!歌神さんはどうするの?」
『…私は、戦う。』
サクラが目を見開いた。
当たり前だ、逃げるべきなんだから。
カカシからの命令は、そうだ。
でも、違う。
"仲間を大切にしない奴は、それ以上のクズだ"
カカシは先生だけど、同じ任務をこなす仲間だ。
『カカシ先生をおいて、私たちだけ、逃げるわけには行かない。』
「なっ…!それはそうだけど…。」
その時。ナルトの雄叫びが聞こえた。
再不斬に一人で突っ込んでいく。
そばにいたサクラも、サスケも驚きの表情を隠せずにいる。
「一人で突っ込んで何考えてんのよ!いくらいきがったって、下忍の私達に勝ち目なんて…」
そこまで言って、サクラは言葉を失う。
ナルトはただ突っ込んだだけじゃなく、先程落とした額当てを取りに行ったのだ。
「おい、そこのマユ無し…。お前のビンゴブックに新しく載せとけ!
いずれ木の葉の火影になる男…。
木の葉流忍者、"うずまきナルト"ってな!」
そう言って、ナルトは額当てを付ける。
その姿は、先程とは違う、頼もしいものだった。
『あれでこそナルトくん!…春野さん、行ってくるね!』
呆気にとられているサクラに一言告げ、リクは、正に水分身と対峙しているナルトとサスケの元に向かった。