第3章 外へ
「ソラがセイレーンの血を引くことを、決して言ってはならない。お前も出来る限り歌うな。」
フガクの言葉に、『ああ、そうだ。』と、思う。
この約束だけは守らなければならない。
今お世話になっている家族は、ソラがセイレーンという力を持っている事は、もう知っている。
だから、誰も異論を唱えなかった。
『はい、もう、歌いません。』
ソラは、歌う事で大切なものを、"家族"を失うならば、もう二度と歌うものか。と決めていた。
その返事に、「よし」とだけ言うと、フガクはご飯を食べ終え、部屋に戻って行った。