第21章 波の国・出発
先を歩くリクとサスケの姿に、サクラは胸が痛む。
任務中だから、私情を挟んではいけないのだけど。
(…サスケくん、あんな風に笑うんだ。)
大好きな彼は、恋敵であるリクに、あんなに優しく笑いかけている。
アカデミーに、リクが編入してきてから、ずっと2人が一緒にいる事は知っていた。
だけどサバイバル演習では、サスケがカカシに踏みつけられた時、リクはもの凄い力でサスケからカカシを遠ざけた。
サスケだって、リクが頭痛で苦しんでいる時に、すぐに駆け寄り、抱きしめて落ち着かせていた。
…今だって、2人は手をつないで歩いている。
2人の信頼関係は、自分が思っていた以上だった。
サスケと同じ班になって、とても嬉しかった。
でも、同じ班になったらなったで、どれほどサスケとリクが仲良いか、見せつけられる羽目になっただけだ。
だが、こんな事でこの恋を捨てられるほど、甘い気持ちじゃない。
それに、自分の性格上、そんな事は決してない。
(歌神さんなんて、しゃーんなろーよ…。でも、私はサスケくんを諦めないわ!)
サクラはリクに対する闘争心をさらに燃やし、2人の後を追いかけた。