第21章 波の国・出発
「リク、大丈夫か。」
『え?ああ、うん。大丈夫だよ。』
リクが無理に笑う。
先程のあの殺気、背筋が凍るほど凄まじかった。
多分、納得いってないのだろう。
任務続行に反対なのではなく、あんな言い方をしたタズナを守らなければならないことに。
リクは、第七班を家族のように思っている。
先ほどタズナに言った言葉から
『班員を傷つけるような事は許さない』という気持ちが痛いほど伝わってきた。
「俺たちは、全員揃って里に帰れるさ。」
『…そうだよね、ありがとう。』
それでも不安そうにするリクの手を、サスケは握った。
一瞬、リクは驚いた顔でこちらを見たが、先程とは違う穏やかな表情で笑った。
リクは優しい。
だから、あれだけ良い動きをしていても、あのウスラトンカチが怪我した事にも責任を感じている。
また、次に襲撃にあうならば、先程以上に強い忍者が来るはず。
その時に、仲間を失うかもしれないと思ったのだろう。
(…大丈夫。カカシもいる。リクは俺が守る。)
サスケも、リクにつられて穏やかに微笑む。
そして、リクの手をもう一度しっかり握り、波の国へ足を進めた。