第21章 波の国・出発
カカシは、溜息を吐いた。
ここまで面倒な依頼人は初めてだ。
「ま、仕方ないですね。国へ帰る間だけでも護衛をつけましょう。」
『先生待って。』
リクが突然止めるので、カカシは「なんだ?」と振り返る。
他の班員も同様に。
そして、全員が驚く。
『…こんな人、守ろうとも思えない。』
リクが、殺気を放っていた。
あの、演習の時のように。
「ちょっとリク、突然どうしたってのよ。」
「歌神さん、おちついて?」
カカシとサクラが止めるが、リクはキッとタズナを睨んだ。
『私たちは忍者。任務を全うする為に、いつだって命がけ。
恨まれようが憎まれようが、それが忍者ってものだから、いい。
だけど、私たちにも、死ねば悲しむ人がいるの。
それも分からずに、ヘラヘラとしてさ。
…班員が死ねば、私は嘘をついたあなたを永遠に恨む。』
タズナがゴクリと唾を飲んだ。
『でも、任務続行と決まったもの、任務はする。だけどこの事は、心に留めておいてください。』
リクがもう一度タズナをにらみ、歩き出した。
それに続いて、サスケが歩き出す。
(…まあ、正論だな。しかし、ここまで殺気を見せるとは。)
彼女には、本当に驚かされる。
あんなものすごい殺気、どうやったら出るのだと思うほどだった。
先を歩くリクの背中をみて、カカシはもう一度、溜息をついた。