第21章 波の国・出発
しかしそれはいらぬ心配だった様で、カカシが止めに入り、この襲撃はひと段落ついた。
バラバラになったと思っていたのは、ただの木。
カカシは変わり身を使っていたのだ。
「お前ら、すぐに助けてやらなくて悪かったな。ナルトには怪我さしちまった。…お前がここまで動けないとは思ってなかったからな。」
カカシは上忍。
こんなサスケやリクでも余裕で相手が出来る奴らに負けるはずがない。
ホッと一息吐いて、リクはナルトを確認する。
手の甲に、相手の爪跡があり、血がにじんでいた。
さっきのやつだ。
『…ごめんね、ナルトくん。私が遅かったばっかりに…。』
もう数テンポ早く動き出していれば、ナルトは怪我をしなかった筈だ。
申し訳ない気持ちになり、拳をギュと握った。
その様子に気づいたのか、カカシはポンとリクの頭に手を置いた。
「リク、お前がいなきゃ、ナルトはヤバかったよ。とりあえず、サスケ、リク。よくやった。」
カカシを見上げると、にこりと笑って返してくれた。
大丈夫だと思うが、ちらりとサスケの様子を見る。
服に汚れの一つもなく、澄ました顔をしていた。
(…よかった。)
安心して息を吐く。
そして、リクの視線に気づいたサスケは、こちらを見て笑った。
そんなサスケの様子に、安堵した。