第15章 負けない
リクの言葉で怒りが頂点に達したのか、女子の一人が、クナイを出した。
周りの子も、さすがにゾッとしたのか止めに入る。
しかしそれすらも耳を貸さない様子で。
女の恨みが怖いのは本当である。
「ほんっと、あんた、ウザい!」
取り出したそれをリクに向ける。
冷や汗が、流れた。
『それは、やめなよ。アカデミーに居られなくなるどころか、牢獄行きになるかもしれないわよ?』
できるだけ平然を装い、そう言った。
聞いてくれるかは分からないが、忠告をする。
さすがに、クナイは危ない。
「煩いわね!あんたのせいよ!」
いや、何があんたのせいか、分からない。
…どうやら聞いてくれないようだ。
(避けるのは、反撃じゃあないわよね…!)
そう思い、避けようとした時、その女子の動きがピタリと止まった。
中途半端な、体勢で。
何事かと思い、大きく目を見開くと、男の子の声が聞こえた。
「ふぅ…。影真似の術、成功。」