第15章 負けない
くノ一クラス。
リクは最高に困っていた。
何故なら、歌の授業である。
「皆さん、将来優秀なくノ一になる為には、女性としての嗜みも学ばなければなりません。今日は、一人ずつ歌を歌ってもらいます。」
リクは、開いた口が塞がらない。
まさかテストがあるとは。
(どうしよう…!流石にみんなの前では歌えない…!)
歌を歌うときに、気持ちを込めないなんて出来ない。
セイレーンである以上、無条件に周りに影響を与えてしまう。
『せ、先生、私歌えないんで…』
「いいですか、歌神さん。苦手な事も練集すればできるようになるのです。歌わないなんてダメですよ?」
歌わなくて済むという選択肢は無くなってしまった。
「どうしたの…?顔、真っ青だよ?」
ヒナタに尋ねられたが、流石にこれだけの人数の前では言えないので、笑ってごまかした。