第2章 家族
『で、でも…!』
ソラは、生きてる!
そう言い返そうとしたが、更にフガクが言った。
「お前が生きるために、自らを犠牲に娘に変化し、セイレーンの血を引くソラとハルは死んだと見せかけた。
この先お前が歩く道に、できるだけ障害が出来ないように。
…意味、分かるな?」
もう、何も言い返せなかった。父の変化はそのためだったのかと、今更理解した。
昨日あれだけ泣いたはずなのに、また涙がポロポロ落ちる。
隣でサスケが心配そうに覗き込んでいたので、"大丈夫"と無理矢理笑い、サスケの手をぎゅっと握った。
(父さん、母さん…。なんでよ…、なんでソラだけを残したの…?)
意味は、分かった。
それならなお、自分が両親を殺したようなものだ。
自身の力のなさ、そして約束の重要さを今更思い知り、悔しくて悔しくてたまらなかった。