第14章 散策
リクはみたらし団子を頼んだ。
美味しいと手のひらを頬に当て幸せそうに笑うリクを、サスケはお茶をすすりながら眺めていた。
(みたらし団子…。あいつも好きだったな。)
何処までも幼馴染に似ているリク。
何度か"うちはソラ"であるかと尋ねようとしたが、記憶が無いと分かった今、聞くだけ無駄である。
あの、一族抹殺の日、生き残りは1人だと告げられた。
目の前で、大切な人は兄に刺された。
確かに"うちはソラ"は死んだはずだ。
しかし、彼女の纏う空気は、幼馴染に良く似ているのだ。
…けれどもサスケは、幼馴染と目の前の彼女を重ねるのはやめることにした。
幼馴染ではなく、今日知り合った"歌神リク"に興味を持っている事が分かったからだ。
(たった1日で、こんなにも…。)
もっと知りたい、話したい。
幼馴染の"うちはソラ"は知ろうとせずとも知る事ができた。
でも、彼女は望まなければ知れないのだ。
『独りじゃなくて、2人。』と寄り添ってくれた彼女を、今度こそ、守るんだと強い決意をした。