第1章 始まり
「ソラ。うちに入りなさい。」
フガクはそう言うと、任務服に着替え、外に出て行ってしまった。
そして、ミコトが部屋へ案内してくれる。
「絶対に出ちゃだめよ。」
そういうと、ドアを閉めた。
今のソラには"絶対"という言葉が重く感じた。
(父さん…。母さん…。ごめんなさい。歌ってしまったから…、絶対に守らなきゃならない約束を破ったから…。)
一晩、フガク達の家で過ごすことになった。
幼馴染のイタチとサスケも、心配して様子を見に来てくれるが、何も感じなかった。
用意された御飯も喉も通らなかった。
眠ることもできなかった。
そして、次の日の朝
うちはサクヤが、他里の忍に連れ去られた妻を助けに行ったが追い込まれ、家族そろって崖から飛び降り、死んだ。
死ぬ前、ハルの体は真っ白だった。
という噂が広まった。
(父さんと母さんには、もう会えない。)
ソラは部屋の隅で膝を抱え、噂が広まり始めてから3日、一切動かなかった。
食事もせず、眠りもせず、声も出さず、泣きもせず。
石像のように動かなかった。