第15章 ガーネット
そう…さっきまで…
俺はわかってなかったんだ。
これが、なんというものなのか…
「俺は…初めて…真剣に人を好きになった」
俺に覆いかぶさるむき出しの肩を掴んで、マットレスに押し倒した。
「格好悪いだろ?今だぜ…?今更気づいたんだよ…」
「翔ちゃん…」
「潤が教えてくれた」
「…潤が…?」
「それが本当に人を好きになるってことなんじゃないのかって…」
もう格好悪くていい。
人を好きになるって…きっととっても格好悪いことなんだ。
「今も…震えてる…?」
「ああ…震えてるよ。智くんが欲しくてたまらないよ。でもね…」
身体を起こすと、綺麗な裸体を見下ろした。
「俺…智くんには、本当にしあわせになって欲しいと…思ってる」
「しあわせ…?」
「智くんが選んだ人と…今の恋人と…しあわせになって欲しい…割り込んだのは俺だから…」
ジャケットを脱ぐと、智くんの上に掛けた。
「だからもう、これで…」
「翔ちゃんっ…」
縋るように俺の腕を掴んだ。
「智くん…俺たちは…」
掴まれた手に、自分の手を重ねた。
その手の温もりに、また身体が震える。
「俺たちは運命共同体で、離れられない。だから…これ以上智くんの心をかき乱すような真似をしたくないんだ」