第15章 ガーネット
そこは寝室で。
真っ暗な中、俺はベッドに突き飛ばされた。
開いたままのカーテンの下がっている窓から、うっすらと月の明かりが差し込んでる。
窓辺に立って俺を見下ろすあなたの表情は見えない。
「なんで…智くん…」
あなたは答えない。
徐に服を脱ぎだすと、窓辺であなたは微笑んだ気がした。
月明かりをぼんやりと裸体に纏わり付けて…
窓枠に伸びる影から、彼方が見えた気がした
「なんで…とか、必要なの…?なんでとかどうしてとか…そんな言葉の羅列、意味がない」
ベッドに乗ると、俺に覆いかぶさってきた。
「感じるままに…俺を抱いたのは、翔ちゃんだよ?」
でも、だめなんだ
このままの関係じゃだめなんだ
「…好きだって言葉で…俺にカードを切ったつもり?」
「違う…そうじゃない…」
「じゃあなんで…今更そんなこというの」
「俺は…」
伝えきれなくて、もどかしい。
「最初は確かに好奇心だった。智くんがどんな風に乱れるのか…見てみたかった」
だけど、違う。
「でも…あなたに触れると…俺は震える…」
「え…?」
「あなたに触れられると、震えるほどしあわせになるんだ…」
「翔ちゃん…?」
「これがなんだか…わからなかった…さっきまで…」