第15章 ガーネット
ぐいっと肩を掴まれて、真正面からあなたは俺を見た。
「翔ちゃんだって…潤が居るんでしょ?」
その瞳には嫉妬が映ってて。
「なんだよそれ…独占欲ってやつ?」
「いけない?俺は…翔ちゃんが…」
「…俺が…?」
見つめたまま、次の言葉を探してるようだった。
意を決したように、あなたはゴクリと唾を飲み込むと唇を開いた。
「欲しい」
それが…
どんなにズルい言葉でも。
どんなにあざとい表情でも。
身体に走った欲情の衝撃は、甘くて抗えそうもなかった。
「…潤とは…もう、そんな関係じゃない」
それだけ言うのが精一杯だった。
「そう…」
あなたの香りが、あなたの表情が…
俺を絡め取って離さない。
「じゃあ…遠慮することないんだ…」
見たこともない表情であなたは笑った。
ゾクリとするほど、妖艶な笑み。
「来て」
俺の腕を引いて、あなたは家に入っていった。
「ちょっと…智くんっ…」
まさか、こんな行動に出るとは思っていなかった。
気持ちを伝えたらそれで終わると、そう思っていた。
こちらを振り返ることなくあなたは歩いて行く。
廊下の途中にあるドアを開くと、その中に入っていった。