第15章 ガーネット
まっすぐに俺を見つめる瞳がとても綺麗で。
女だとか男だとか関係ない。
ただ、この大野智というひとは美しくて…
そしてとても愛おしいと思った。
「あ」
愛おしいとかわいいって、同じ意味なんだ。
「なに…?翔ちゃん」
「ん…なんでもない…」
かわいいと思うほど、愛おしいってことか…
目の前に居る人を抱きしめたいほど嬉しくなった。
そうか…俺のことかわいいと言ったのは、そういうことだったのか…
でも…
お互いがそう思っていても…
叶うことがないことだって、世の中にはある。
「あのね、智くん…」
「なに…?」
「忘れ物、もう届けることができない」
「…え?」
「だから、最後に言うね…」
「最後…?」
「とても…」
少し、緊張で声が枯れそうになった。
一回だけ小さく咳払いをすると、もう一度ちゃんと智くんを正面から見つめた。
「とても…あなたのことが好きだ」
驚きに見開かれた目を見つめながら、ちゃんと伝えようと腹に力を入れる。
「今の智くんには…恋人がいるけど…でも、どうしても伝えてしまいたかった。ごめんね…」
驚いたままの顔を見ていることができなくなって。
背を向けた。