第15章 ガーネット
返事も聞かずに通話を切った。
車のキーを掴んで、地下駐車場まで降りると急いで車を出した。
あの時とは…全然違う街の景色に驚いた。
夜の街の闇…真っ暗で俺の心のようだった闇はどこまでも広がって。
どんな結果になっても…受け入れられる。
例え俺の気持ちが駄目になったとしても…
まるごとあの人を、この闇で包めるような気がした。
潤が俺を手放したように…
俺のしあわせを願って、潤は俺を手放した。
ガーネットのブレスという手錠をつけて。
俺たちは…
嵐というグループで、運命共同体で…
離れることはできない。
だから…俺も、あなたを手放すよ。
一生離れることはない、手錠をあなたの心につけて。
「振られるのなんて…久しぶりだな…」
あなたの心がこちらに向かないのはわかってる。
だからせめて…手錠をつけておくよ…
忘れないように…
俺が潤に想われたことを忘れないように、あなたに俺が抱いた気持ちを忘れないように。
智くんの住むマンションに着くと、まっすぐに部屋に向かった。
部屋の前に立つと、やっぱりドアは内側から開いた。
「翔くん…」
「入っていい?」
少し戸惑った顔で、智くんはドアを開け放った。