第15章 ガーネット
左手首のブレスを眺める。
「真実…ね…」
”抱きしめられると、胸があったかくなって…しあわせが溢れてくる…”
潤にとってそれは…俺のことだったんだろうか
いくらバイだからとは言え…
男の身体で、男を受け入れるってことは容易なことじゃない。
それを繰り返してるうちに、潤の中にそういう気持ちが芽生えてしまったのか。
それとも、元々潤は…
「ごめん…」
本当に…こんな馬鹿野郎なのに…
ぎゅっとブレスを右手で握ると、リビングに戻った。
スマホを取ると、スワイプして着信履歴を探す。
発信ボタンを押すと、鼓動が加速度を増した。
喉がきゅっと狭まるように息が苦しくなったけど、ここで止めちゃいけない。
2コールで、あの人は出た。
「もしもし…」
『なに…』
「今から、行くから…」
『え…?』
「来てって言ったの…智くんだよ…?」
暫く沈黙が流れた。
『潤、と出かけたんじゃないの?』
「ああ…今まで一緒に居たよ?」
『なんで…?』
「…忘れもの、届けてもらった」
また沈黙が流れる。
移動中なのか、遠くからマネージャーの声が聞こえる。
『忘れもの…』
「そう。だから、今から智くんのところに…忘れ物届けに行くよ」