第15章 ガーネット
「潤…?」
「じゃあね。ばいばーい」
リビングのドアを出ていく潤は、一度も俺を振り返らなかった。
「おい…」
慌てて追いかけて、玄関で潤の腕を掴んだ。
「どうしたんだよ?急に…」
「…早く…」
「え?」
「早く大野さんに電話しなよ」
「なんで…」
「俺のことはほっといて」
潤はこっちを見なかった。
「潤…?」
「そういうの…もう…」
声が掠れて…
「おまえ…泣いてるの…?」
肩が少し震えた。
「真実・友愛・忠実・勝利…」
「え?」
「ガーネットの石言葉だよ」
やっと俺を見た潤の目は、赤くなってた。
「今日から、友達ね」
「潤…」
「大野さんに、電話して…」
ゆっくりと掴んだ腕を外された。
「ばいばい。翔くん…」
引き止めることができなかった。
そのまま潤は俺に背を向けて、玄関を出ていった。
「潤…」
もしかして…潤は…
「俺は…なんて馬鹿野郎なんだ…」
長い時間、こんな関係だった。
だから、潤も同じなんだって思い込んでたけど…
潤は、違ったんだ
「ごめん…潤…」
ただ、肉体の欲を解放するだけの関係だと思っていたのは俺だけで…
いつの間にか潤は、そうじゃなくなってたんだ。