第15章 ガーネット
「わかってないなぁ…」
にやにやからくすくす笑いに変わると、少し部屋がシンとした。
「俺とのセックス思い出してみなよ。そんな風になった?」
「え…?」
「違うでしょ?だからそれが”好き”ってことだよ」
笑いを消して、潤は俺を見た。
「俺は…初めて好きな人とセックスした時、凄い感じたよ」
「おまえ…」
「そりゃ最初は…痛かったけど…」
「って、下になった時かよ」
「悪い?上になったときはでも、こんな幸福感はまだ感じたことはないけどさ」
「それじゃあおまえは、女でそんな人に出会ったことないってわけか?」
「まあ…そうなるね。そこんとこは翔くんと一緒なんだと思う」
案外…真面目に考えてるんだな…
「身体の底から…震えるほどしあわせだった…」
遠い目をして、潤は何かを思い出しているようだった。
「抱きしめられると、胸があったかくなって…しあわせが溢れてくる…」
ちらりと俺を見ると、潤は立ち上がった。
「翔くんは、大野さんを抱いたとき、そういう風に感じたんじゃないの?」
「ああ…そう、なんだと…思う…」
ふっと潤は笑うとポケットに手を突っ込んだ。
「はい。これ、あげる」