第15章 ガーネット
「それってさ…」
「うん?」
ブシュッと音を立てて、またプルタブを引き上げた。
ごくごくと飲むと、俺を見た。
「本当に好きって、ことなんじゃないの?」
「え…?」
ぐいっと袖で口元を拭くと、缶をテーブルに置いた。
「大野さんのことが…本当に好きだから…感じるんじゃないの?」
そうなのか…?
そういうものなのか…?
「…もしかしてさ…」
少し、意地悪く笑う。
「翔くんって、本当に好きな人、抱いたことないの?」
「え…?」
「いや…俺のことは遊びだって、わかってる。だけどさ…今まで付き合った彼女とか…本当に好きだって思う人、抱いたことないの?」
「なんだよ…それ…」
「ああ…そうなんだ…翔くん…」
「ちょっと待てよ。勝手に納得するなよ」
「初体験ってやつだったんだ?」
「は…?」
意地悪な笑いから、ニヤニヤに変わる。
本当に潤は面白がってるようだ…
「へえ…ガブリエッラちゃん以来の初めてねえ…」
「ガブリエッラちゃんは関係ないだろう…寝てねえし」
「初めての恋に、初めての…本当のセックス」
「はぁ…?」
もうこいつ何言ってんだ…
セックスに本当もクソもないだろ…