第15章 ガーネット
潤の言ってることはわかる。
わかるけど…
でも正面からぶつかっていくなんてできるわけがない。
その後の事を考えたら…
「寝たの…?」
「あ?」
いきなり核心を突かれて答えに窮していると潤は笑いだした。
「そうだよねえ。翔くんがそんなチャンス逃すわけないよね」
「…おまえ…」
「最初は好奇心だったんでしょ?」
笑いが止まらないまま、潤は俺を見た。
「大野さんがどんな風になるのか…見たかっただけでしょ?」
「…ああ…」
なんでわかるんだろ…
「それで見事に落ちちゃったんだ…翔くんらしいね…」
「はあ?なんだよそれ…」
「…そんなに、大野さん良かったんだ?」
突然笑いを引っ込めた。
「良かった」
そう言えば満足なんだろ?
なのに潤はちょっとだけ傷ついた顔をした。
「俺よりも…?」
「比べるものじゃない」
あれは…なんだろう
触られるだけで感じた快感
あんなの、初めてだった
「…わからないんだ…」
「え?」
「なんで…あの人に触れられると、あんな風になるのか…」
「翔くん…」
「なんであんなに、気持ちよくなるのか…わからないんだ」
「へえ…」
テーブルの上に乗ってる缶を潤は手に取った。