第15章 ガーネット
「本当に?」
唇をかみしめて視線を逸らす。
また俺のこと見ないつもりか。
「本当に、なんでもないんだね?」
じゃあ、俺も見ない
そのほうが傷つかないじゃないか。
だけど…
手を離したら、また力が抜けた。
一体いつまで…俺はこんなことを繰り返せば…
逃れられるんだろう
「翔くん…?」
後ろから潤の声が聞こえた。
振り返ろうとした瞬間、俺の腕を智くんが掴んだ。
「え…?」
まっすぐに俺のこと見上げてた。
瞳が、濡れてる。
「今日、来て」
それだけ言うと、離れていった。
「どうしたの?」
足早に去っていく智くんの背中を、信じられない思いで見つめた。
「なにを…言ってるんだ…」
「え?翔くん…」
「なんで…」
なんで、かき乱す。
「潤…」
「どうしたの…真っ青だよ…?」
そっと俺の肩を支えるように左腕で包んだ。
「いや…なんでもない…」
足元がぐにゃぐにゃと現実感のない感触。
立っていられなくて、潤に寄りかかった。
「俺が…必要…?翔くん…」
「え…?」
ゆっくりと潤が歩き出す。
背中を押されて、俺も一緒に歩き出す。
「一緒に…歩くよ…」
ぐらりと床にめり込みそうだった。