• テキストサイズ

カラフルⅣ【気象系BL小説】

第15章 ガーネット


ゆっくりと俺たちの向かいのソファに智くんは座った。
潤が握りしめる手にはやっぱり痛いくらいの力が入ってる。

どうか見つからないようにと思う反面、見つけて欲しいと思う自分も居て。

あなたがどんな反応をするのか、知りたい。

そんなことをしたって、どうにもならないのはわかってる。
きっと、いつものように何事もなかったかのように。
あなたは笑うんだ。

そして俺を見ない

…ただそれだけじゃないか…

なのになんで俺は、何かを期待するようにあなたを見てしまうんだろう。

一瞬だけ、目が合った。
すぐにその視線は逸らされた。

ほら…いつも通りじゃないか…

「わかった…」

ほうっと小さく息を吐き出すと、潤は俺を見上げた。

「ありがとう…翔くん…」

その小さな呟きは、彼の耳に届いたのだろうか

いつも通りの収録の時間が過ぎていく。
身体に力が入らなくて、少しだるい。

仮面の笑顔を付けて、仮面の俺を演じて。
一体この先に何が待ってるんだろう。

光り輝くような未来の中に立っているはずなのに、俺の周りは闇で。

たった一人の男のために、何で俺がこんな所に堕ちているのかと自嘲するが、やっぱり光は見えてこない。

/ 1000ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp