第15章 ガーネット
「最近…会ってくれないんだね」
それから暫く経ったレギュラー収録の日。
局に入ってすぐにメイクを済ませて楽屋に戻ると、潤が待ち構えていたように話しかけてきた。
「…そう…?一回断っただけだろ…」
「今まで一回も断ったことないじゃん…」
ソファの隣に座っている潤は、周りに人が居るからごく小さな声で抗議してくる。
「たまたまだよ…」
「嘘言うなよ」
「なんで…」
そこまで言って、潤は自分の言ってることに気がついたようだった。
「…何言ってんだろ俺…」
「どうしたんだよ…潤」
「なんか、変だよね。俺…」
俺たちの関係は、欲望を解消するだけ。
ただそれだけだったはずだ。
お互いを拘束するようなことは、今までなかった。
「最近…翔くんが…」
「ん…?」
「いや…俺の言えることじゃないけど…」
本から目を外して俺を見上げた。
「誰か、居る?」
「え…?」
「そんな、気がする…」
案外、こいつは鋭かったりするんだ…
子供みたいにまっすぐ前ばかり見てると思ったら、意外と周りが目に入ってる。
「なんだよ…それって、嫉妬ってやつ…?」
「そう、なのかな…」
「なに女みてーなこと言ってんだよ」
そう言ってやると、潤は俯いた。