第15章 ガーネット
認めるよ
俺はあなたに堕ちたんだ
でも、あなたは…
あの甘い時間が過ぎた後、また現実に戻っていった。
何も語ることのない背中。
それを見送るだけの俺。
…それが、どんなに俺を絶望させたか…
あなたはわかってないんだ
夏に一度だけ行ったあなたの家を思い出しながら、車を運転する。
こんなに落ち着かない思いで、誰かの家に向かうなんて久しぶりだった。
夜の街は闇に覆われて。
綺羅びやかなネオンの当たっている場所以外は、なんにも見えない。
まるで、俺の心みたいで。
俺はどうしたいんだろう。
赤信号で停車して、街の闇を見つめる。
あんな風に背中を向ける人を追いかけてどうなるんだろう。
流されるよう仕向けたのは俺だ。
そうなるよう追い詰めたのは俺だ。
飛び込んできた獲物は逃がさない。
ただそれだけだったのに。
堕ちたのは俺の方だった。
ため息をつくと、信号が青に変わった。
ブレーキから足を外して、静かにアクセルを踏み込む。
まさか…自分が制御不能に陥るとはね。
それも、メンバーに対して…
「20年…か…」
こんなに長く一緒に居て…今更…
一体俺は、どうしたいんだ。