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カラフルⅣ【気象系BL小説】

第15章 ガーネット


家に帰るとすぐにスマホを取り出す。

スワイプするのももどかしくて、着信履歴から名前を見つけたらすぐに発信した。

『…もしもし…?』

ボソボソと聞こえる声。
後ろは静かだから外に居るわけじゃないようだ。

「俺。忘れ物、ある」
『え…?』
「どうする?明日届けようか?」
『い、いい…取りに行くよ』

へえ…会ってくれるんだ。
あんなことしたのに…

終わった後、あんなに気まずい顔して帰っていったのに。

「そう?悪いから、俺が届けようか?」

駆け引きの時間が始まる。

『え…?』
「タクシーなんて今の時間、捕まらないでしょ。だったら俺が届けようかって言ってんの」

少しだけ逡巡している間があった。

「ああ…ごめん。今、誰かと居るなら…」
『ううん…違うの…』

少しだけ声に焦りがあった。

「邪魔して悪かったね」

試しに少し突き放してみる。

『違う…今、ひとりでいる…』

やっとカードを一枚切った。

「そう…じゃあ、行ってもいい?」

智くんのもたらすあの甘い快感に、身体が少し疼いた。

「俺が、行ってもいいなら…」

だからこちらも一枚、カードを切る。

『いいよ…』

まだ勝負はつかない。

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