第15章 ガーネット
「メンバーのスケジュール教えて」
いつものことだから、チーフも疑うことなく俺に全員のスケジュールを教える。
「いつもながら熱心だねえ…」
スケジュール管理をしてるアプリに、メンバーのスケジュールが一覧になって表示されてるのを、自分のタブレットに打ち込んでいく。
メンバーのスケジュールをと言いながら、俺の目はずっと智くんのスケジュールを追ってる。
オフのスケジュールを見ながら、笑いがこみ上げて来るのを抑えることができない。
「ほんと、ワーカホリックなんだから…」
「ん…?」
「スケジュールが埋まってないと安心できないんだろ?」
「そんなことねえよ」
チーフは、ずっと俺に付いてたマネで。
俺が嵐になってからほとんどの時間を一緒に過ごしてるから、気心が知れてるからこんな口をきく。
銀縁のメガネを上げながら、俺の顔をにやにやしてみてる。
楽屋はもう収録が終わってるから、人がいない。
チーフと明日以降の打ち合わせをして、これで家に帰れる。
「…あ…」
「ん?どうした?」
「いや…なんでもない」
智くん、今、空いてるじゃないか…
平日で、明日も午前中から仕事が入ってる。
だったら、この時間は家にいるはず。
また、笑いが込み上がってくるのを止められなかった。