第15章 ガーネット
「なに…?」
呼ばれたから、智くんの隣に座った。
肩に手を回すように背もたれに腕を乗せて、智くんの方に身体を向けた。
怯えた顔をした
ゾクゾクした。
なんだか知らないけど、鳥肌まで立ってる。
「…見たんだね…?」
「何を」
「だから…俺と一緒にいた人を…」
「だったら?」
ぐっと黙り込んだ。
唇を噛んで、俯いた。
「…誰にも、言わないで…」
今にも震えだしそうだった。
ぎゅっと腿の上で手を握りしめてる。
そっと顔を近づけて、智くんの髪に唇で触れた。
びくっと身体を震わせて。
そしてゆっくりと俺を見上げた。
目が潤んで…赤くなりかけてる。
その目で、探るように見る。
じっと見つめ返すと、怯えがだんだん諦めに変わって行くのがわかった。
やっとわかったの?
自分で弱点晒しに来たこと
20年も俺たちに隠し通してきた弱点を…
今ここで自分で暴いたんだ
そして…自分で俺のテリトリーに入ってきたことが、何を意味するのか
何も言わず、感情が移り変わっていくのを眺めてた。
「…なんで…何にも言わないの…」
それでも最後の足掻きなのか、そんなことを聞いてくる。