第15章 ガーネット
「あ…」
背中にキスマークつけてしまった。
あいつ、気づいているんだろうか。
「くくっ…」
なんにも知らないで誰かの前で服を脱いでしまったら…どうなるんだろ。
時々、こういういたずらをして潤にはこってり怒られるんだけど…
真っ赤になって怒るのがおもしろくてやめられない。
煙を吐き出しながら苦笑いしていると、スマホが鳴った。
テーブルの上に置いてあったのを手に取ったら、案の定潤からで。
怒りマークのスタンプがたくさん送られてきた。
「ばかでー…」
あいつは今日仕事だから、着替える時マネージャーにでも見られたんだろう。
上機嫌でシャワーを浴びて、空腹を覚えたから早々に退散することにした。
忘れ物がないかチェックして部屋を出る。
廊下に人影はなかった。
ドアを閉めて歩き出すと、隣の部屋のドアが開いた。
気まずくなって顔を少し逸して歩いていると、そのドアから人が出てきた。
エレベーターが一緒になったら気まず過ぎるから、早足になって部屋の前を通り過ぎようとした。
「あ…」
聞き覚えのある声だと思った。
何も考えないで、その声の主を見た。
「智くん…」
そこに居たのは、大野智だった。