第15章 ガーネット
起きたら一人だった。
開いたままのカーテンからは昼の日差しが差し込んでた。
年末年始と激務で、これから平昌もあるから束の間の休息時間である今。
昨日と今日は完全オフで、のんびりしようと思ってたんだけどな。
「結局セックスかよ…」
タバコを吸おうとソファまで行くと、テーブルの上には紙幣が数枚とメモ。
”今日も良かった。Thanks!”
「金置いていくなよな…売春かよ…」
いいって言ってるのに、ホテル代はいつも潤が出していく。
いつものことだけど、律儀な奴…
潤とはこんな関係になってもう随分経つ。
と言っても、別につきあってるとか恋人とかいうわけじゃない。
俺の血が沸き立って止まらないとき。
あいつの身体が疼いてしょうがないとき。
完全に安全で何の危険もない俺たちだけで、それを解消する。
俺はゲイじゃないけど、潤はバイで。
必死に隠してるけど、漏れ出てくるものを感じた俺から手を出した。
男と寝たことがなかったから、その時は好奇心が勝ってた。
最初は脅しだったけど、こんなに安全に自分の欲望を解消できる方法は他になかったみたくて、今では従順だ。
タバコに火をつけ、冷蔵庫から水を取り出した。
窓辺に立ってカーテンを開けると、東京の街を見下ろした。