第14章 ライム
それでも振り向かないから、無理やりソファに座らせた。
「なあ…なんか、あったんだろ?」
相葉さんの前の床に座って顔を覗き込むけど、目も合わせない。
「言えよっ…なんかあったんだろっ!?こんなことしないで、ちゃんと言えよっ!俺にっ…」
胸倉を掴んで身体を揺さぶった。
「あの日だって、言いたかったんだろ!?俺に!」
名古屋のあの夜…
本当は俺に聞いて欲しかったんじゃないかって。
なのに、俺があんな態度取っちゃったから…
だから言えなかったんだよね?
「聞くから…ちゃんと言って…?」
無理やり俯いてる相葉さんの顔を上げた。
涙に濡れる頬を俺の手のひらで拭うと、やっと俺と目を合わせてくれた。
「ニノ…」
ぽろぽろと涙が溢れだして。
情けない顔をした相葉さんは、俺の身体を抱き寄せた。
「ごめん…俺…もうわけわかんなくなって…」
「う、うん…」
なんで…抱きしめられてんだかよくわからないけど…
「俺…俺ぇ…」
「うん…」
ぎゅううって相葉さんの腕に力が入る。
「バカなんだと思う…」
「そんなの今に始まったことじゃないでしょ?」
「ううう…」
「昔からなんだから、今更悩んだってしょうがないでしょ?」
「う、うっせー!」