第14章 ライム
何いってんの…何言ってんのよ…この人…
手が冷たい
足先も冷たい
体中どこもかしこも冷たい
心臓、冷たい
「ふざけんなっ…」
そう叫んだけど、身体に力が入らない。
「ばかっ…」
やっと腕が動いて、相葉さんの胸板を叩いた。
「ばかっ…ばかっばかぁっ…」
なんにも言わない相葉さんはそのまま俺の拳を受け続けた。
「…どーせ…バカだよ…」
ぼそりと呟いた相葉さんの頬を、涙が伝っていった。
「え…?」
ゆっくりと俺から腕が離れていく。
「なんなの…?」
「ごめん…」
ソファから立ち上がると、俺に背中を向けたまま泣いてる。
「…なんなの…なんなのよっ…」
「ごめん…」
「こんなことしといて、何であんたが泣いてるのよ…」
完全拒否な背中は何も答えない。
だめだ…ここで、踏み込まなきゃだめだ
そうわかってるのに、まだ俺は怖い。
相葉さんに踏み込むのが、怖い。
何でこんなに怖いのかわからない。
でも…やらなきゃ…
あんなことしてくれるほど、この人は俺のことちゃんと考えてくれてるんだから
「相葉さん…」
なんとか立ち上がると、相葉さんの背中に手を置いた。