第14章 ライム
「じゃあもう荷物まとめてるの?」
「まあね…」
じゃあ余計疲れてるんだ…
年末には俺たちにオフってものは存在しなくて。
ずっと詰まった仕事の合間にそんなことしてたら、疲れるに決まってる。
岡田くんの結婚報道はちょっと前にバレてしまったけど。でもそれも大した騒ぎにもならず。
一応、相葉さんが被ったことは役には立ってて。
でもやっぱりなあ…
バッシングはないわけじゃない。
好意的な声が多いけど、やっぱりそれだけじゃないし…
なにより、彼女にも何かしら降り掛かるわけで。
ちくん…
「相葉ちゃん、俺、手伝いに行ってやろうか?」
一緒の部屋で着替えてた大野さんが声を掛けると、ちょっとさみしそうに笑った。
「大丈夫。ごめんね?心配かけて」
あ…出たよ。完全他人拒否だ。
こうなっちゃったら頑ななんだよなあ…
「ううん。俺、ほんとに暇だし」
「大丈夫大丈夫…」
ほんとは…もっと踏み込んで聞きたかった。
でも相葉さんの他人拒否な雰囲気を、俺はどうしても破ることができなくて。
なんか、ちょっと怖いと思ってしまった。
今、踏み込んだら…
余計に傷つくんじゃないか
余計に考え込むんじゃないか
そう思って…
いつもならずかずか踏み込めるのに、躊躇してしまった。
俺、どうしちゃったんだろ…
ちくんちくん…
胸が痛い