第14章 ライム
東京に戻って次の日。
相葉さんのスキャンダルの載った雑誌が発売された。
決定的なショットがあるわけじゃなかったけど、相葉さんちを特定されてしまったり、やっぱり周囲はざわざわした。
俺はNHKで仕事をしながらもちょこちょことスマホで成り行きを見てた。
でも、予想に反して、ファンの子には好意的に受け止めてる意見が多くてほっとした。
その次の日は麹町で収録だった。
いつものようにスタジオに入って、準備してたら相葉さんが来たんだけど、やっぱりぼけっとしてて。
幸い収録は、新年あけてからの放送予定ので、特別気張るようなものじゃなかったんだけど、それにしてもちょっと腑抜けてて。
収録中はなんとかギア変えてたけど、から回ってて…
その日は励ますことも憚られて、結局俺はなにもできなかった。
なんだかなあ…
その週の金曜日は、生放送の音楽番組だった。
なんとかこの時は持ち直していたんだけど、やっぱり元気なくて…
やっぱり本番ではから回ってて。
ほんと…わかりやすいんだよなあ…
「え?引っ越すの?」
「ああ…特定されちゃったからな…年明け早々には…」
「ふうんそっか…」
本番が終わった後、楽屋代わりに取ってある幕張のホテルで着替えてる時にそんな話になった。