第14章 ライム
ホテルのロビーを出てジャンボタクシーに乗り込んだら、もう相葉さんは乗り込んでて。
キャップを目深に被って寝たふりしてた。
「おはよ」
一番奥の席に座ってる大野さんだけが俺の挨拶に応えてくれた。
「はよ」
相葉さんにはキャップ越しにデコピンだけしといた。
でも、無反応。
「あーあ…」
「ん?」
大野さんが眠そうな目を俺に向けてきた。
「なんでもね」
おじさんの膝を枕に、座席に寝っ転がった。
「重い」
ぶーぶー言ってるけど無視して目を閉じた。
俺…なんて言ってあげればいいんだろ…
あんなことまでしてくれる相葉さんに、なにをしてあげられるんだろ…
つか…あんなことされたけど…
別に…
嫌じゃ…
なかったし…
「にゃあああっ!」
「うわあっ…びっくりした!なんだよ!?」
大野さんの膝から思わず飛び起きた。
「ばかばかばかばかーーー!」
「お、俺が!?」
な、何考えてるんだよ!?俺っ…
「ニノ…?」
「なんでもないっ…」
またドスンと膝に頭を乗っけたら、ぐえっと大野さんが声を出したけど、知らない。
「…なんなんだよお…」
あああ…もう、この前から調子狂いっぱなしじゃないか…