第2章 オセロ scene2
「恋人にも…恵まれて…周りにも恵まれて…こんなしあわせでいいのかな…」
「ばっか…」
くすくす潤は笑うと、また俺の手を握りしめた。
「それはさ。今まで雅紀がやってきたことの結果なんじゃね?」
「え?」
「雅紀が人のこと拒否したり、意地悪してたりしてたらさ、こんな関係にはなれてなかったと思うよ?」
「…そう、かな…」
「そうだよ。人生ってさ、その時までやってきたことの結果だって、俺は思ってる。だから、雅紀もいままで間違ったことしなかったから、今があるんだと思う」
「潤…」
「雅紀がにこにこ笑ってみんなの前で居るだけで、救われてる人、たくさんいると思うし…」
「も、もうやめろよっ」
「俺だって、何度も雅紀の明るさに救われたよ?」
急に恥ずかしくなってきて、座席に深く沈んでしまった。
「何、照れてるんだよ」
「て…照れるわボケっ…」
「ホントの事しか言ってないけど?」
「う、うるさいっ…」
なんで…急にそんなこと言うんだよ…
「感謝してるんだぞ…俺…」
「え…?」
「雅紀とこうならなかったら…俺、どうなってたかわかんねえもん…」
「潤…」
「誰か襲って、今頃芸能界に居なかったかもしれないじゃん?」