第14章 ライム
「俺、紅白の司会決まって忙しいんですけど」
「相葉ちゃん、去年ひとりでやってるから、参考に話聞いとけ」
ニッコリ笑うと、大野さんは手のひらをひらひらさせて帰っていった。
翔さんはまだマネと打ち合わせしてるし、潤はコンのスタッフさんが今日は大阪に向けたミーティングしてるから、今から顔を出すって話してる。
「なんで一番暇なリーダーがやんねえんだよなあ…」
まあ、しょうがない。
自分で言いだしたことだし。
「相葉さん」
準備をして肩を叩くと、ゆっくりと顔を上げた。
「今日彼女来てんの?」
「いや…今日は遅くなるから来てない」
「じゃあ泊まり行っていい?」
「ああ…いいよ?」
「はよ。帰ろ?」
「うん…」
ノロノロ動き出すのを手伝って、なんとか楽屋を出た。
相葉さんちの近所で送迎車を降ろしてもらうと、無言で歩いた。
「あ。家、なんもねえわ。買い物行く?」
「どうでも…」
近所のコンビニに寄って、酒をいっぱい買い込んで帰った。
「…いや、おまえ…」
「あ?飲みきれなかったら持って帰るから」
「ああ…今日はそんな飲まないんだな?」
「当たり前でしょ…明日も朝から渋谷だよ」
「ああ…そうだよな…」
やっぱり、心ここにあらずで。
…もう、面倒くさい…