第14章 ライム
「…おまえ、そうやって人を舐め腐ってると、いつか痛い目見るぞ」
「はあ?もう散々見てんだけど」
そうだよ。
舐め腐ってなかったのに、今までどんだけ痛い目見たか。
アンタが知らないわけないだろ。
「真剣に好きになったら別れさせられて。本気で愛そうとしたらマスコミに写真売られて…俺がなんにも感じてないとでも?」
本気でムカついてきた。
あんただって同じ目に遭ってるだろ?
信じてた女に写真売られて、晒し者にされて。
事務所同士がどうのこうの言われて別れさせられて。
「…だからって、感覚まで擦り切れさせていいのかよ?」
「はあ…?」
なんだか今日は凄い食い下がってくる。
「感覚ぅ?なにそれ、お腹膨れるわけ?」
「ニノ…」
「だからさ、無駄なことはもうしないの。後腐れない便所女が俺の性欲始末してくれるっていうんだから、それでいいじゃない。なにが悪いのよ」
言い切ったと同時に、楽屋に着いた。
立ち止まってる相葉さんを無視して楽屋に入ると、後はもういつも通りだった。
でも今日は、案の定相葉さんの様子はおかしくて…
ヘマばっかり。
仕事に持ち込むなよな。
個人の感情なんてさ。
いらねーんだよ。
ファンは、生身の俺たちなんか、いらないんだから。
表面だけ取り繕っとけばいいんだって。